魏晋交替期に生きた阮籍は、儒教を利用した司馬氏の簒奪に対して抵抗した。その抵抗は、詠懐詩という魂の呻吟を吐き出した文学として、また老荘思想を中核とする玄学として表出された。こうした文化を拠り所に君主権力に対する自律性を貫いた阮籍の生き方は後世の貴族の模範となり、「竹林の七賢」を生み出していくのである。
『中華世界の歴史的展開』汲古書院,2002年11月,1~19頁